[928]hokehoke
頻尿治療薬について
頻尿の治療薬は、有効率があまり高くないことと、人により効果がある薬が違うことは書いたが、多にも医師でも誤解していることがありそうなので、追加で書かせていただく。
頻尿の治療薬を使うと、トイレへ行く回数が著しく減ることを期待している方が多いようであるが、回数は思ったほど減らないようである。頻尿を訴える方は、一日平均10回以上トイレに行くようだが、薬を使っても1〜2回減らすのが精一杯のようでる。前立腺肥大の薬で、過活動性膀胱を抑えるという薬でも一晩5回が4回に減る程度である。これでもかなり良い成績のようである。回数を減らすことを期待して使うと失望する所以である。 ではこの系統の薬は飲ませる意味がないかというと、そうでもない。切迫尿失禁と言って、トイレに行きたいと感じ始めると、すぐにもう我慢できないと感じるようになるのが過活動性膀胱の特徴的な症状なのである。これがなくなると、本人は非常に楽になり、トイレのことをあまり気にしなくなる。また間に合わずに失敗するということが減り、精神的に非常に楽になるようである。この効果が大事なのである。特に認知症で尿意がある方には、「切迫尿失禁」の状態を解消することでストレスを減らすことは他の行動面でも良い効果があるので、試したほうが良いと思う。この場合「切迫尿失禁状態」が改善すれば効果は充分であり、トイレの回数は減らないと考えておいたほうが良いと思う。 あと効果がない場合は漫然と投与を続けないほうが良い。ある頻尿改善薬で、明らかに認知機能の低下が認められた方が居る。少なくともMCIから軽度痴呆といっても良い状態になった。この方は過去の脳梗塞で失語症が後遺症として残り、判断が難しかったが・・・。 男性で前立腺肥大に伴う頻尿で、頻尿改善薬を使うと前立腺肥大が悪化するので、其の面でも使いにくい方であった。認知機能の低下に伴って、排尿の障害が、時によって目立つことがあった。この方はその後パーキンソン症状が急に始まり認知機能の低下が更に目立ってきてレビー小体型認知症と診断した。幸いフェルガード100を1包のみで急速にパーキンソンも認知機能も改善したが。 このように、認知症のある方に使用すると認知機能の低下が起こる場合もあり、注意が必要です。 また、のどの渇きがひどくて続けれられない方も居る。 高齢者に、は坑コリン薬に分類される頻尿改善薬の場合いろいろな副作用があるので注意が必要だ。 特に目の病気で緑内障の方は、緑内障が進行して失明することがあるので特に注意が必要だ。心臓の疾患の一部も症状が赤することがあるので、注意が必要だ。これらの疾患の場合使用禁止になっていることが多い。 あとは前立腺肥大がある男性の場合、うまく使うと前立腺肥大に伴う過活動性膀胱の症状を軽減できて良い場合も多いが、場合により前立腺肥大による排尿困難を悪化させるので、注意が必要だ。 パーキンソンの症状を悪化させることもあり、譫妄を起こすこともある。だからレビーの場合、頻尿改善薬を使用する場合、注意深い観察を続け、飲ませるメリットのほうが大きいときに使用する。改善効果がなかったり、症状が無くなり落ち着いたら、一度薬を休む勇気も必要だ。もっともひとつの薬で改善しないなら、他の薬を試したほうが良いとは思うが・・。特に切迫尿失禁で困っている方には・・・。
メール
2008年11月09日 (日) 08時57分
|